Netherlands Kimono – Hallelujah Kimono
Hallelujah Kimono @netherlandskimono
トリコは、日本を代表するキモノの専門家であり、その芸術的な才能と情熱は、オランダを拠点とするキモノブランド、Hallelujah Kimono の創設につながりました。
Hallelujah Kimono は、日本の文化と伝統を称賛し、世界に広める使命を持つ素晴らしいブランドです。このインタビューでは、トリコがどのようにして日本のキモノに魅了され、その美しさと伝統をオランダにもたらすことに情熱を注いできたのかについて探求します。
彼女の経験、挑戦、そしてキモノに対する情熱が、どのようにして彼女のデザインとブランドに反映されているのか、詳細に掘り下げます。さらに、トリコがキモノの世界で何をもたらし、どのように伝統と現代の融合を図っているのかについても議論します。
彼女の作品に込められた独自のメッセージや彼女のキモノに対する愛情に触れ、日本文化の美しさと深さについての洞察を得ることができます。お楽しみに。
1.- トリコさん、お招きいただきありがとうございます。日本で生まれ、オランダで育ったトリコさんにとって、生まれ育ったオランダのどんなところが好きですか?
こちらこそ、今回ご招待いただきありがとうございます。あらためて私とオランダについてご説明します。
私は現在46歳。私はシングルマザーで9歳の長男をはじめ子供が4人います。オランダに来たのは2021年10月。今オランダ生活は2年半を迎えています。つまり、人生のほとんどを日本で過ごし、子供達と共に新たな挑戦として移住してきた国がオランダなのです。
オランダを選んだ理由は、子供達の幸福度が世界一と言われてるところ。そして日本と違った文化を多く持っているところです。
もともとオランダと日本の親交は古く、日本が鎖国(他の国との国交を断絶している時代)していた時も、オランダとだけは貿易を続けていました。
実際にオランダに来て、全く違う部分も感じますが、日本との共通点も感じています。オランダの人達は堅実で、派手過ぎることを好まない人が多く、文化や伝統を大切にする部分を持ち、木や草花、季節などの「自然」に尊敬や美学を感じているように思います。私はそんなところがオランダと日本の共通点だと感じ、とても親近感を持っています。
ヨーロッパの他の国にも行きやすく、他の国の人や文化に対し柔軟な考え方や政策を持っているように感じるところもとても好きなところです。子供達もオランダが大好きです。
2.- 子供の頃から続けている趣味は?いつも笑顔でいられること、大きな喜びを感じることは何ですか?
子供のことから続けていることは、本を読むこと。そして、20歳のころから着物を着ること、着物について学ぶことが趣味です。着物に携わっていること、着物を通して多くの人と出会えることが私の喜びであり、笑顔でいられます。
また、子供達が笑顔でのびのびと自分らしく育ってくれることは私の喜びです。子供と過ごす時間は私にとって宝物です。
3.- ハレルヤキモノを始めたきっかけは何ですか?
もともと、着物が好きで趣味でした。着物好きが高じて、20代後半の頃に日本にある呉服店チェーン店に販売員として働きました。そこで多くの着物に対しての知識、販売について勉強させてもらいました。毎日着物を着て、着物で生活をしていました。呉服店を退職した後も、着付け師の資格を取得し、着付け師、着付け講師として活動していました。
日本にいる時からhallelujah kimonoを経営していましたが、私の本業は別に有りましたので、副業としてでした。
オランダに引っ越すにあたり、私がヨーロッパで出来ること、したいことは何だろうと考えました。多くの人に着物の魅力を伝えたくて、オランダでHallelujah Kimonoを本格的にOPENしました。
Hallelujah Kimonoについて
店主は日本人のTrico。日本で着付けの資格を取得し、着物のプロとしてのキャリアは長い。Hallelujah Kimonoはオランダで2021年11月にOPEN。アンティークやビンテージ着物をはじめ、日本で人気の着物のリメイクブランドの商品を輸入したり、自分達でもリメイクしたりしてオンラインショップで販売。時々、イベント出店もしている。
販売以外にも、着物のレンタル、着付け、撮影、着付け教室、ワークショップ、イベント等、着物にまつわることは全て承れる。購入した着物のメンテナンスやケアも対応。責任もって、安心してお任せください。
4.- ブランドの背景にある哲学と、それが商品にどのように反映されていますか?
ブランドの背景、哲学はズバリ「日本の着物の魅力を一人でも多くの方に知ってもらいたい、届けたい」です。
オランダに来て、ドイツやベルギーにも出店して、着物の認知度の高さに感激しました。フランスやスペイン、イギリスでも着物ファンがいることを知りました。
反面、たくさんの人が、日本も、着物も知らないということも知りました。
どんな人にも、私達の自慢であり、文化であり、ファッションとして最高の着物を気軽に手に取ってほしいと思っています。
そのため、質の高い、職人技の詰まったアンティークやビンテージの着物を厳選して日本から輸入し、比較的安価にお値段を押さえてご提供しています。
また、その生地や質感を取り入れやすいように、私達のオリジナル商品も数多くリメイク、制作しています。日本で人気の着物リメイクブランドをヨーロッパで唯一取り扱っています。
着物を全く知らない方には興味を持ってもらえるように。着物が大好きな方にはより好きになってもらえるように、多角的なアプローチと商品展開を心がけています。
5.- あなたの着物に対する個人的な経験と、それがブランド作りにどのように影響しましたか?
まず、私が日本人であること、日本の民族衣裳であり、ファッションである着物が当然としてそこにある環境で生まれ育ったということはとても大きなポイントだと思っています。
20歳から着物に深くのめりこんで、はや25年以上。その間に、呉服店で専門的な知識と経験を得ました。また、着付け師、着付け講師として、学び、日常に着物が有る生活を続けてきました。
私自身がとにかく着物が大好きです。それは理屈ではない。説明できない感覚です。
そんな私の経験をもとに、ルールや知識をふまえ、流行を取り入れ、ヨーロッパの皆様の意見や感覚も受け止め、柔軟に変化させながら、着物の魅力を発信できるブランドにしていきたいと思っています。
6.- オランダで着物会社を設立するにあたり、どのような問題に直面しましたか?
日本で当たり前に行われている着物の常識やビジネスの仕方が通用しませんでした。日本では、お祝い事や式典で着物を着ますが、オランダでは、式典も行われず、着るチャンスが日本より少ないです。また、日本では着物のレンタルも盛んですが、オランダでは高価な着物をレンタルするという感覚がないと言われたことも有ります。唯一無二のものであるにも関わらず、配送が上手くいかないことも有りました。他のもので代替えが利かないこともあり、困ったことが有りました。
また、着物の価格が高いということにも驚かれることは多いです。しかし、逆に言うと、その価値をしっかりとお伝えできるチャンスも有るわけですから、私達の役目はまだまだこれからだと感じています。
7.- 着物の職人や素材を選ぶプロセスは?
もともと、私が呉服屋さんに勤めていたことから目利きを行うことが出来ること、産地やどのようなお店がどこにあるかを知っていることはとても役に立っています。
流行も取り入れたいので、常にSNSをチェックし、オンライン、オフライン問わずコンタクトをとり、職人さんや工房、着物を取り扱い企業とのやりとりを勧めています。
ヨーロッパに着物を届けたいという私達の思いに賛同してくださった会社と新しいものを生み出すためのミーティングも良く行っています。
8.- 日本の伝統を尊重することと、現代的な着物の楽しみ方とのバランスはどのように取っていますか?
この質問はとても難しいです。正直に言うと私の感覚的なところというのが答えです。
まず、絶対的に勉強をし続けることが重要です。着物の知識や伝統については、私も知らないことがたくさんあります。着物の着方、素材、柄付け、時代。。。様々な要素が絡み合い、その時々で常識は変わっています。
もともとの着物の成り立ちやプロセス、ルールをきちんと説明できるようにしたうえで、自分の遊び心やひらめきを取り入れ、その商品一つ一つをきちんと自分の言葉でご紹介できるようにすることを心がけています。
9.- 着物の職人技のどのような点に最も感銘を受けますか?
全てです。彼らはチームで仕事をしており、作業の工程の一つ一つを時間をかけて行っています。誰が欠けてもその生地が成り立たないこと、専門の職人がその作業を極めていること。
糸を紡ぐ、織る、染める、縫う、描く。。。地域ごとに様々な技法が息づいていて、受け継がれ、今もなお生み出されています。
技術の習得、向上に努力を続けていることに感動します。彼らは、時に多くの言葉で語ることはないですが、その工程と作業は雄弁です。また、なぜその作業を行うか、全てに理由が有ります。
丁寧で細やか、日本人らしいこだわりを随所に感じます。実際に職人に会いに行くと、そのパワーに圧倒され時に涙が自然に出ることも有りました。
10.- ハレルヤ・キモノ・コレクションの中でお気に入りの作品とその理由を教えてください。
厳選した振袖や羽織などアンティーク、ビンテージの商品はどれもお気に入りです。時代ごとに流行の技法や柄があり、それらを学び、見つけることもとても楽しいです。
また、ヨーロッパの皆様に取り入れやすいようにオリジナルの法被や着物ドレス、アロハシャツなど制作しております。(私達が全てを作っているわけではなく、信頼できるクリエイターや企業と打ち合わせを行い作成してもらっています。)
生地や柄の魅力をそのままに普段に取り入れたり、持ち歩いたりできるリメイク商品は、いきなり伝統的な着物だと敷居が高い人でも気軽に手に取りやすいと思います。
日本とヨーロッパの融合のようで、私はそれがとても好きです。
11.- 着物業界が現在直面している課題と、あなたのブランドはそれらにどのように取り組んでいますか?
日本人が着物を着ないと言われるようになってから、かなり時間が経ちます。更に着物が高すぎるという理由で、リサイクル着物が人気になり、安価な着物の流通が主流になってきています。
そのため、長い年月をかけて技術を身に着けた職人達が廃業や後継者不足で悩んでいるのが現状です。
私は、着物や着物の生地をより多くの人に知ってもらうことで、ファンを増やし、その技術が廃れていくのを少しでも食い止めたい。安価でカジュアルに楽しむ着物も有って良い。しかし、高価な着物にはその理由があることも知ってほしい。
着物というスタイルで着ることを押し付けるつもりは有りません。自由に着物の生地やその技を取り入れられるように、アイテムは増やしているつもりです。
これからも世界で日本の技術が、多くの人に愛されるように、認知度を高めるための努力をしていきたいです。
12.- 着物のデザインはどのように選び、どのような基準で本物や品質を保証していますか?
全て日本で買い付けを行っています。Made in Japanにこだわり、信頼できるところと取引を行っています。
しかし、最近では日本人が着用する着物も日本以外で縫製、制作されている場合が多くなってきました。安価に手に入るからです。
それも日本の現状で有り、日本で流通する以上、日本の着物であるということは間違いありません。
輸入は全て日本から行いますが、作られたところが違う場合はそのむねも必ず明示しています。
私達は着物や着物生地へのきっかけの提供を行うことも大切にしたいので、正直にお伝えすることで、ご理解の元、気軽に購入していただけるように心がけています。
13.- ターゲットはどのような人々で、どのように商品を宣伝していますか?
私がオランダに住んでおりますので、まずはオランダ、ベルギー、ドイツなど隣国の皆様に認知していただきたいと願っています。
そのうえで、ヨーロッパでも日本人のプロによる着物専門店は少ないと認識しています。スペイン、フランス、イタリア、イギリス。。。とヨーロッパ全土の皆様に少しでも知ってもらいたいと願っています。
日本が好きな方はもちろん、そうでない方、知らない方、全ての国のすべての人達と繋がりたいです。
宣伝について、現在はSNSが中心です。リアルショップはなくオンラインショップのみでご購入いただけます。
しかし、着物は実際に見て触って感じていただくことがとても重要だと思っていますので、イベント等にも積極的に参加し、実際に話しながら、手に取っていただく機会も大切にしています。
14.- 顧客に最高の体験を提供するために、他の着物専門家とどのように協力していますか?
輸入、制作、販売に至るまで、基本的には着物のプロ、日本人、知識を持ったスタッフで連携を取っています。
もちろん、日本のことが好きで、勉強している日本人以外の方にも参加してもらいたいと思っています。新しい感覚と新しい風が吹くからです。
私達が実際にお客様と話して得た、お客様のリアルな声を、日本にいる専門家にフィードバックすることで改善、新商品の制作に繋げています。
ヨーロッパに住む日本人の着物の専門家の方とも繋がり、和を広げていきたいと願っています。
15.- ブランドと着物生産の持続可能性について、どのように管理していますか?
私達はオランダでOPENして2年です。認知してもらうこと、ファンを増やすことを最優先に考えており、その先に、存続があると認識しています。
目の前の顧客とのつながりを1番に考え、出会った方ひとりひとりの声を商品に反映する努力をしています。
また、販売しただけではなく、購入した商品のアフターフォローやメンテナンスにも力を入れていきたいと考えています。他で購入された着物も、修繕、リメイクを引き受けています。
現在、オランダに住む資格を持った和裁士にアドバイスをもらいながら、ケアやメンテナンスの充実を目指しています。
着物はオンリーワンなものが多く、気に入っているものを大切に長く着ることも着物の魅力なので、責任もって対応していく仕組みづくりを行っています。
16.- ハレルヤキモノの長期的なビジョンと、目標を達成するための計画を教えてください。
ヨーロッパで着物と言ったら「Hallelujah Kimono」と思ってもらえる圧倒的な認知度と信頼を得たいと願っています。
それにより、オランダをはじめ多くのヨーロピアンの皆様が着物に興味を持ち、日本の文化を知ってくださり、ファンが増えることで、一緒に着物や素材、柄の意味を楽しみたいです。
着物を通して心が豊かになり、物を大切にする日本人の心を届けたいです。
そして、多くのファンを獲得できた暁には、日本の職人達が更に技を磨き、ヨーロッパの皆様が求める作品を作ってくれることを夢見ています。
着物を通して本気で、日本とオランダ、ヨーロッパ、世界を繋ぎたいです。
そのためには、誠実に一歩ずつ。興味を持ってくださったお客様や顧客を大切に。着物にまつわる全てのことを安心して相談してもらえるそんなお店、ブランドに成長できたらと思っています。
また、オランダでリアル店舗がOPEN出来ることを具体的な目標にしています。
17.- ブランドとハレルヤキモノでの仕事について、最も誇りに思っていることは何ですか?
この2年間、実際にお客様と出会い、接客させていただく中で、多くの皆様が笑顔になり、喜んでくださり、目を輝かせてくださることが何よりも嬉しく誇りです。
自分が経験してきたこと、自信を持ってご提供できることで、Happyを届けられるなんて、なんて光栄なんだろうと思います。
更に、大好きな母国日本の着物業界にも貢献できるようになれたたら、最高だと思います。
普段の洋服に少しだけ日本のテイストを取り入れてみたよ。大好きなアニメの影響から着物が気になっていたけれど、Hallelujah Kimonoで本物の着物を知って、着物を着るようになったよ。そんなお客様からの声が私達の原動力です。
18.- 着物や日本のファッションの世界に飛び込みたい人へのアドバイスはありますか?
着物の持つ魅力、その背景にある文化、ファッションとしての楽しみ、日本という国の魅力は語りつくせません。私は日本人として自信を持ってお勧めしたいです。
深く知るとルールやしきたり、格式などで難しく感じるかもしれませんが、実際には、日本人もカジュアルに自由に楽しんでいます。
1つのものを100年以上も大切に受け継ぎ、着こなしたり、着崩したり、変化を受け入れていく。それは着物であり、日本そのものだと思います。
少しでも興味を持っていただけたら嬉しいですし、是非とも堅苦しくなく、気軽に取り入れていただけたらと思います。
ここまでご覧くださり本当にありがとうございました。いつかどこかでお会い出来ますように。
トリコ
ハイメ・ウィリアム・モスタセロ・バッカによるインタビュー – Trico – 日本
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トリコの連絡先 WhatsApp
WhatsAppによる書面でのインタビュー許可 トリコ – ペルミラ – ハイメ・ウィリアム
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